1月25日午後4時



空のとおさが、空気のにおいが、雲のかるさが、春が近づいてることをほのめかします。阪急京都線から見下ろす街は、昼下がりの沈み始めた怠惰なオレンジ色に薄く染まっています。人がそれぞれを生きてこんなふうにこんな景色をつくっているという当たり前のことに、不意に胸がつまる思いがします。無責任で贅沢な幼い感傷だけれど、ひどく心地いい気分になる。なんてことはない、あたまをなでられているのと同じことだと思います。

ケーキ屋さんで働きはじめました。とてもわたしに向いていると思います。マフィンをふくろにつめたり、たのまれたケーキをはこにつめてわたしたり。たいていの人は誰かのためにケーキを買います。友達の誕生日だったり、家族へのお土産だったり、恋人への贈り物だったり。それがとても嬉しい。穏やかで余裕のある人しか、誰かへの贈り物なんてできないし、逆に贈り物をすることが、そういう意味で自分のためになったりもする。そんなふうなことをお手伝いできることに、嬉しくなります。個人経営のお店だから、地域のつながりを感じて、それも心地いい。それはわたしがそのコミュニティじゃないかもしれないけれど、商売に嫌気がさしていたわたしには、驚きのあたたさでした。毎日毎日ケーキをつくりつづけることは、生易しいことではないけど、なんかそういうのにどうしても憧れます。毎日同じことを、正しく丁寧に繰り返せることが、何よりも尊くて美しいと思います。わたしも働こう、就活がんばろう。


春が来たから、海がみたい。大きい観覧車にのりたいな。




春の惑星 / ふくろうず